汚泥脱水機とは何ですか?
その名の通り、汚泥の水分を抜く装置です。工場などで発生した汚泥はまず沈殿槽で濃縮され、さらに凝集剤で前処理された後この脱水機にかけられ、最終的に脱水ケーキと呼ばれる湿った固形物に変えられます。
なぜ脱水する必要があるのですか?
理由のひとつは処分コストの削減です。含水率が高いままでは重いし、かさばるし、悪臭を放つしで、処分コストがかさんでしまいます。
もうひとつの理由は廃棄物の二次利用です。様々な有機物や無機物が含まれる汚泥は再利用すれば立派な資源になります。ただし含水率が高いままでは再利用がしにくいため、それをできるだけ含水率の低い脱水ケーキに変える必要があるのです。
また日本の場合、下水汚泥のほとんどは焼却処分されています。そのため汚泥の脱水は処分の必要上、不可欠な作業となっています。
汚泥脱水機にはどんな種類がありますか?
大きく分けると次の四つのタイプがあります。
スクリュープレス型
このタイプは、構造がシンプルでメンテナンス費用がかからないという利点があります。ただし含水率の削減効果はあまり期待できません。
多重円盤型
このタイプは、壊れにくく手間もあまりかからないことから人気を集めています。とくに排出されるのが有機汚泥であれば検討する価値は高いといえるでしょう。
フィルタープレス型
含水率を低くしたいならこのタイプがオススメです。上記の2タイプに比べるとやや高価になりますが、それだけの効果は期待できます。とくに無機汚泥の場合、条件が良ければ30%台の含水率を達成できることもあります。また最近は全自動制御のものもあり、使い勝手も悪くありません。
ベルトプレス型
大量の汚泥処理に向いているのがベルトプレス型の汚泥脱水機です。フィルタープレス型と違い連続処理が可能で、そのため大量処理に適しています。日本では大規模な下水処理場などで使われています。
汚泥脱水機の導入にあたって留意すべきポイントは?
ポイントは汚泥の性質および状態に合った適切な脱水機と凝集薬剤を選定することです。
ただしこれは口でいうほど簡単ではありません。適切な脱水機と凝集薬剤を選定するためには工場で実際に産生される汚泥をサンプルにした実験を何度も繰り返し、さらに実機による実証実験を行うという専門的なプロセスが必要になるからです。
導入にあたってはやはり専門家の相談を仰ぐのが一番の近道といえるでしょう。
ちなみに脱水機の脱水効率は一般には70%程度が限度ですが、最近は50%近くまで減らせる高機能タイプも登場しています。
排水処理にかかる運営コストの削減を上長から指示されています。調べると汚泥の廃棄に関わるコストがかなり高い事が判明しました。原因は汚泥含水率の高さです。測ってみたらここ1年ほど90%近くで推移しており、これが産廃費用の高さにつながっています。脱水汚泥の含水率を下げる良い方法はないものでしょうか? ちなみに今使っている汚泥脱水機は5年ほど前に購入したものです。
脱水工程で使用している凝集剤を変えてみるという方法があります。その際、目安となるのは汚泥の変化です。1年以上前と比べて性質や状態に変化があるなら汚泥成分が変化した可能性があります。含水率が高くなったのもそれが原因かもしれません。もしそうであるなら凝集剤を汚泥成分に適したものに変えてみてください。そうすることで状況が改善できる可能性があります。
また場合によっては最新の脱水機への入れ替えも視野に入れたほうがよいかもしれません。購入後5年とまだ新しい機械ですが、最新式の機械なら産廃費用を大幅に削減できる可能性があるからです。今後も継続的に発生する産廃費用を考えれば導入費用は2、3年で元が取れるはずです。
ちなみに含水率を60%まで減らすことができれば汚泥量は30%にまで削減できます。仮に毎月の汚泥処分費用が100万円掛かっていたとしたなら、それが毎月30万円で済むのですから数年もすれば十分回収できる計算になります。