排水処理とは?
排水処理とは、排水中の有害物質を除去することです。有害物質というのは、国や自治体が定めた基準によって排出量の上限値を決められた物質のことです。そうした有害物質を除くための作業を称して排水処理といいます。
排水処理の最終目的は、国民の健康と生活環境を守ることにあります。汚染された排水をそのまま河川や下水などに流すと周辺環境に重大な悪影響を及ぼすおそれがあります。そうならないようとくに一定以上の排水を出す事業者には、放流する前に汚染物質を除去するよう法律でその義務が定められています。
また排水中に含まれる稀少元素や有機物をもとに資源やエネルギーとして再活用することを目的に行われる場合もあります。
具体的な排水処理のやり方は?
排水処理には、大きく分けて生物化学的処理と物理化学的処理のふたつがあります。このうち生物化学的処理は、微生物の代謝活動を利用したもので、現在多くの現場で使われている一番ポピュラーな方法です。
また物理化学的処理はさらに物理処理と化学処理とに分けられます。物理処理というのは濾過などの物理的な手法による処理方法で、化学処理というのは化学薬剤を使った文字通り化学的な手法による処理法を指します。
ちなみに凝集剤のように薬品の化学的な性質と分子間のファンデルワールス力(物理力)を利用した処理法のことを物理化学法と呼ぶ場合もあります。
ここで処理対象となる有害物質を便宜上、「有機物類」「窒素類」「りん類」「金属類」の4つに分類してみましょう。
このうち「有機物類」「窒素類」「りん類」については生物処理法である程度処理することができます。しかし、なかには生物処理法では処理できない、あるいは処理しにくいものもあります。金属加工工場やメッキ工場などから出るそれのように金属イオンや化学薬品を多く含んだ排水や容量自体が少ない(30㎥/日以下、負荷変動が大きい)排水などがそうです。
またいくら有機物であっても、数十ミクロン以上の大きさのコロイド粒子も一般に生物的な方法では処理しにくいとされています。
それらを化学的および物理的な方法で補いつつ、処理するというのが排水処理における基本的な考え方です。
このように排水処理といった場合、その一丁目一番地に位置するのは微生物を利用した生物処理です。通常の排水処理工程はこの生物処理を中心に設計されていると言っても言い過ぎではないでしょう。
生産物に変化があった場合、注意すべきことは?
工場の生産物に変化があった場合、どのようなことに気をつけたらよいでしょうか?
生産物が変わったからといって排水処理への影響を事前に確かめるのは難しいかと思います。おそらく実際に排水を流して処理水質の変化を調べる以外これといった方法はないはずです。もっとも排水量に大きな変化がある場合は別ですが、そうでないかぎり、生産物が変わっただけで大きなトラブルになるケースは少ないようです。
なお生産物(有機物)に変化があった場合、当然ながら処理水にも変化が現れるわけですが、この際、生物処理を担う微生物が新しい有機物に馴れるまでにはしばらく時間がかかります(馴化といいます)。そのため新しい生産物の投入にともなう変化を見る場合は、馴化が完了するまで一定の時間を置いてから行う必要があります。
また、生産物の変化のあるなしにかかわらず、BODやノルマルヘキサンの流入濃度が高くなった場合は要注意です。その場合、排水処理フローを一から見直す必要があるかもしれません。