ノルマルヘキサンとは?
ノルマルヘキサンとは何ですか
石油を精製して得られる液体です。油分をよく溶かす性質があります。ノルヘキと略称で呼ばれることもあります。
何に使うのですか?
排水中の油分量の指標として使われます。
なぜ油分量を測る必要があるのですか?
油分が含まれた排水が河川や海などに流出すると水質が悪化し、そこに生息する魚介類が死滅してしまう可能性があるからです。また魚や海藻などの海産物に油膜が付くと油臭さの原因となり商品価値を損なってしまうこともあります。
ヘキサン値が高いと油分が多いということですか?
そうです。
どうやって測定するのですか?
ヘキサンは油分を溶解させます。その特性を利用して排水中の油脂を溶解させ、油脂を含むヘキサン層として分離させます。そのヘキサン層から元のヘキサンを蒸発させ、あとに残った油脂の重量を測定します。それがいわゆるヘキサン値になります。
ちょっと待ってください。ということはヘキサン値といってもヘキサンそのものの分量ではないわけですね?
いいところに気がつきましたね。ヘキサンは排水中の油分そのものを指すわけではなく、油分を化学的に抽出するための触媒にすぎません。一般に排水中の油分そのものを指す場合、ヘキサン抽出物質という言葉を使います。まぎらわしいのですが、ヘキサンとヘキサン抽出物質がまったく違う物質であることは覚えておく必要があるでしょう。
油分には動植物由来のものと鉱物由来のものがあると思うのですが。
その通りです。ヘキサン抽出物質には動植物油脂と鉱物油脂の二種類があり、それぞれ法律で基準値が定められています。
ノルマルヘキサンの値が上昇したかどうかはどうやって判断しますか?
簡易検査キットなどで簡単に測定できます。また第三者機関に測定を依頼することもできます。
感覚的な判断もある程度は可能です。処理水の表面に油膜が張っている、グリストラップから分離される油の量が目に見えて増えた、という場合は要注意のシグナルといってよいでしょう。
ちなみにノルマルヘキサン値が上がるのは、一般に生産物の種類や量が増えたことが原因である場合が多いようです。
ノルマルヘキサン値を下げるにはどうすればよいですか?
次の四つの方法があります。
グリストラップを設置する
油分を分離させる上で一番効果的なのはやはりグリストラップです。もし未設置であれば早めに設置した方がよいでしょう。
グリストラップの容量を大きくする
設置済みであるにもかかわらずヘキサン値が高止まりしている場合、排水量がグリストラップの処理能力を超えた可能性が考えられます。その場合は、容量の大きいものと交換してください。
グリストラップからの油分回収頻度を上げる
油分回収頻度が上がればそれだけ油分が減少しますので、ノルマルヘキサン値も下がることになります。
グリストラップの処理効率を上げる
近年、グリストラップの処理効率を飛躍的に上げる新しい技術も登場しています。上記3つの方法でも不十分な場合、そうした技術を試してみるのもよいかもしれません。
なお、油分を薬剤等の使用によって分離、分解処理することでヘキサン値を下げる製品もあるようですが、製剤の使用量(ランニングコスト)や添加量調整の問題等により、安定的に成果を出し続けるのはなかなか難しいようです。運営維持全般のことを考えると、やはりグリストラップを設けるか、それに代わる措置をきちんと施してやるのが賢明といえそうです。
排水処理が最近安定しません。排出基準を度々超えますし、処理水に着色も見られます。流入原水を分析したところ、ノルマルヘキサン値がかなり高くなっていることが判りました。もちろんグリストラップで油水分離はしているのですが、どうやら乳化した油分が曝気槽に流入している模様です。これらの問題を解決するにはどうしたらよいですか?
通常、グリストラップがうまく機能していれば油分も正常に分離できているはずです。それがうまくできておらず、後段の処理にも影響しているということはグリストラップの機能に何らかの問題が生じていることが考えられます。
これに対する応急的かつ効果的な処置はひとつしかありません。それは「グリストラップ上に浮かんだ油分をこまめに回収してやる」ということです。
この作業を怠ってしまうと浮上した油分が腐敗して悪臭を招いたり、このケースのように後段の排水処理設備に悪影響を及ぼしたりしてしまいます。
根本的な対策としては容量の大きいグリストラップに交換する、処理効率を高めるための装置を導入する、などが考えられます。このあたりは状況によりますので、もっと詳しいことをお知りになりたい方はレスキューチームまで直接お問い合わせください。