汚泥処理とは?
汚泥処理とは、排水処理工程で発生した様々な汚泥を処理することです。
その目的は次の三つです。
安定・無害化
工場から発生する汚泥には多くの有機物が含まれています。そのため、放置したままにすると腐敗が進み、悪臭の原因にもなりかねません。また病原菌などが繁殖して周囲に疫病を発生させる危険性もあります。汚泥を堆肥化したり、乾燥させることはそうした事態を防ぐ効果があります。
減量・減容化
排出されたばかりの汚泥はそのままの状態では処分する上で何かと不都合です。多くの水分を含んでいるため不必要に重いし、かさばるし、なにより扱いにくいからです。これを脱水し、含水率を低くすることで運搬がしやすくなり、同時に処分コストも軽減できることになります。
再資源化
多くの有機物や希少な無機物を含む汚泥はある意味、宝の山です。その宝の山から新たな宝を掘り起こそうというのがこの再資源化です。具体的には、肥料や建設資材などとして再利用したり、バイオマス由来のクリーンな燃料源として有効活用したりする試みが各地で始まっています。
汚泥処理の工程は?
汚泥処理にはどのような工程がありますか?
汚泥の種類によって様々ですが、一般には次の四つのプロセスをたどります。
濃縮
汚泥から水分を分離し、減量・減容化を図る工程です。具体的な方法には重力によって汚泥を沈降させる重力濃縮と、遠心力や微細な泡による浮上力、また膜による濾過力などを利用した機械濃縮があります。
消化
この工程では汚泥中の有機物を分解し、汚泥の減量・減容化とともに安定化と無害化を図ります。またその際、メタンガスなどが発生しますので、それをエネルギーとして回収し、再利用する場合もあります。
脱水
汚泥から水分を限界まで絞り出す工程で、汚泥処理の要となる工程です。脱水方法には大きく分けて遠心分離式と濾過式があります。この工程で脱水処理された汚泥は一般に乾燥した固形物に変わり、脱水ケーキと呼ばれます。
焼却または再資源化
通常、脱水ケーキは産廃処分場に運ばれ、焼却処分されます。また近年は環境保護の観点から汚泥を再資源化する試みも進んでおり、固形燃料として、また肥料やセメントなどの建築資材として再利用されるケースが増えています。
今の説明は汚泥そのものについての処理方法だと思いますが、工場における排水処理の場合、そもそもその汚泥はどこでどのようにして生まれるのでしょうか?
具体的な処理フローに従ってみてみましょう。
(1)排水は原水槽に入る前にスクリーンを通過します。この時スクリーンにつかまったゴミがまず最初の汚泥として発生します。
(2)調整槽から生物曝気槽に入る前に、凝集剤を使って排水中の浮遊物(SS)を処理します。この時発生する凝集スラッジが2番目に発生する汚泥となります。
(3)生物曝気槽の後には、処理水中の浮遊物(SS)を沈殿させて、キレイな上澄みだけを放流する沈殿槽があります。この沈殿槽の底に溜まった汚泥を引抜いて処理するのが3番目の汚泥です。
このように一口に汚泥と言っても様々な種類があり、当然ながらその処理方法も様々なものがあります。