COD(化学的酸素要求量)は水の汚染度を表す指標です
水の汚染度を測る上で重要な目安となるのが水中の有機物です。CODはその有機物の量を間接的に示す指標のひとつであり、Chemical oxygen demandの略称です。日本語では化学的酸素要求量と呼ばれています。
ここにあるのはCOD値が高いー有機物の量が多いー汚染度が高いという関係です。
似たような指標にBOD(生物化学的酸素要求量)がありますが、BODは微生物による酸化分解によって分析値を求めるもの、CODは化学薬品による酸化分解によって分析値を求めるものという違いがあります。
単位は「mg/L」です。これは水1リットルに対して何ミリグラムの酸素が必要かということを表しています。
BODとCODに絶対的な相関関係があるわけではありませんが、同一種類の排水においてはある程度の相関関係がみられます。
またBODとCODを同時に計測することで、廃水中の易分解性有機物量と難分解性有機物量が想定できるようになります。両者は廃水処理システムを設計する上で不可欠なデータとなります。
CODもBODも産業排水ばかりでなく、河川や海域などの汚染度を測る指標としても使われます。ちなみに河川の場合はBODを、湖沼や海域の場合はCODを使うのが一般的です。
水の汚れ具合は直接測定するのが難しいため、代わりに魚や微生物などそこに棲む生物が必要とする酸素量でそれを判断します。その際、微生物を使って分析値を求めるのがBODであり、酸化剤(化学薬品)によって分析値を求めるのがCODです。
BODによる測定が最低でも5日間かかるのに対してCODは短時間で測定できるというメリットがあります。
なぜBODとCODというふたつの分析方法があるのですか?
どちらも有機物の量をもとに水質を分析する指標なのに、なぜBODとCODというふたつの分析方法があるんですか?
理由はBODによる測定の場合、次のような条件下では正確な分析ができないからです。
微生物が分解しにくい有機物が大量にある場合
同じ有機物であっても分子構造が複雑で大きい高分子有機物は酸化分解がしにくくなります。ビニールなどはれっきとした有機物(高分子有機物)ですが微生物だけではなかなか分解されないことはよく知られています。
水中に毒物が含まれている場合
毒物が含まれた水の中では微生物が死んでしまうため微生物を利用するBODでは正確な測定ができません。
湖沼や海域の場合
湖沼では光合成による酸素生成を行う藻類や酸素を消費するプランクトンなどが多いため、また海域では塩分の影響を受けるため溶存酸素量の測定値が不明瞭になります。