加圧浮上装置とは?
汚れの原因となっている水中の浮遊物質を、加圧浮上法により取り除く機械です。加圧浮上法というのは、大量発生させた微細な気泡(マイクロバブル)の浮力を利用して水中のフロック(凝集した固形物)を浮上させ、液体と分離させる方法です。
一般に水中の浮遊物質を取り除く方法としてよく知られているものに重力式分離方法があります。これは固体の比重差を利用して分離させる方法で、身近な例でいえば水と油が分離するのもこの原理によるものです。しかし水との比重差が大きい油であればいざしらず、比重差が小さい浮遊物質の場合、そう簡単には分離してくれません。そこで用いられるのがこの加圧浮上法です。そしてそのための装置が加圧浮上装置というわけです。
似たようなものに凝集攪拌装置がありますが、それに比べ加圧浮上装置には
(1)設置面積が小さい
(2)凝集効果が非常に良く、脱色、脱臭性などに優れる
(3)油水分離に高い効果が得られる
などのメリットがあります。
一方、
●装置が高価である
●バッチ運転ができない
●装置が複雑になる
といったデメリットもあります。
加圧浮上装置選びのポイントは?
加圧浮上装置を導入する際は、何をポイントに選べばよいのでしょうか?
重要なのは次の四つです。
(1)マイクロバブル産生の容易さ
(2)メンテナンス費用の安さ
(3)占有面積の小ささ
(4)価格と性能との兼ね合い
どれを重視すべきかは生産物の種類や量、敷地の広狭、さらに予算によっても変わりますのでどれがベストかは一概にはいえません。ここはやはり専門家に相談するのが早道といえるでしょう。
加圧浮上装置が正常に機能しているかどうかを簡単に判別する方法はありますか?
加圧浮上装置の肝となる機能はファインバブルの生成です。その調整が上手くできている場合は、牛乳のように白濁した状態が、固液分離槽の中で観察出来るはずです。さらに理想的な状態であれば、この泡が完全に消滅するまでに90秒前後掛かるはずです。一方、固液分離槽内に気泡が観察出来ない場合には、調整が上手くできていない可能性があります。
最近、加圧浮上装置のパフォーマンスが低下しています。固液分離にかかる処理速度も以前に比べると目に見えて遅くなったように感じます。30年以上使っていたので老朽化したのかもしれません。最新式の装置を導入すれば一発で解決する話なのでしょうが、予算の関係もあり、できればもうしばらくこのまま使い続けたいと思っています。なにかよい応急処置はないものでしょうか?
パフォーマンスが低下した原因を特定してみないと確かなことはいえませんが、ポンプやモーターを交換することで機能を回復させたり、装置を延命させたりすることは可能です。ただし装置本体に腐食による穴が発生していたならそれは寿命が尽きかけているしるしです。万が一排水基準を大幅に超える事態に陥った場合、巨額な罰金を請求される可能性もあります。大事にいたらないうちに早めに買い換えた方が無難かと思われます。