油水分離装置とは何ですか?
油水分離装置とは、工場などから出る汚水に対して油と水を分離させる装置の総称です。油水分離装置にはさまざまなものがありますが、なかでも有名なのがグリストラップです。原理は単純で水と油の比重差を利用して両者を分離させるというものです。油水分離槽、オイルトラップなどと呼ばれることもあります。
なぜ油水分離装置を設置する必要があるのですか?
水質汚染の原因となる排水中の油分を除去するためです。油分は海域や河川、湖沼などに流出すると油膜を形成し、水質を悪化させるとともに魚介類を死滅させる原因にもなります。また油膜が張ると獲った魚が油臭くなり、商品価値が低下します。そのため油分を含む排水を放流するにあたってはあらかじめ油分量を一定以下にするよう法律でその基準値が定められています。
さらに、ここには下水管の保護という理由もあります。排水に含まれる油分が多いと下水管がつまりやすくなります。それを抑制するため、排水中の油分をあらかじめ基準値以下にする必要があるのです。
そのため工場にかぎらず、油を多く使う中華料理店などでもこのグリストラップは普通に使われています。
グリストラップと他の油水分離装置、そのメリット・デメリットは?
グリストラップの原理は非常に簡単です。しかも効果バツグン、なおかつ故障知らずとグリストラップに関してはほぼメリットばかりといえるでしょう。唯一デメリットがあるとすれば、負荷の変動に弱いことです。実際、油分が急激に増えるなどした場合には十分な分離ができなくなる可能性がありますので、それだけは注意が必要です。
これに対してグリストラップ以外の油水分離装置は効率はよいものの導入費用が高額であったり、維持が大変だったりと実際の導入には二の足を踏む場合が多いようです。
またグリストラップにはその処理性能を引き上げる多くの関連製品があります。その多くは薬品、洗剤、酵素などですが、こうした製剤類は一度使い始めると途中で使用を止めにくくなるというマイナス面もあるので使用にあたっては十分な検討が必要です。
注目したいのは、磁場を利用してグリストラップの処理性能を引き上げる新しい技術が最近開発されたことです。こうした革新的な技術は油水分離にとどまらず排水処理に関連する幅広い領域に新しい風を吹き込んでくれることでしょう。
油水分離装置導入の際に留意すべきポイントは?
油水分離装置の導入にあたって留意すべきポイントを教えてください
グリストラップにかぎらず排水処理システム全般に共通することですが、処理能力については十分すぎるほど余裕を持たせた設計にしておくべきでしょう。将来、生産量が増えた場合、処理能力が追いつかなくなり、放流水質が急激に悪化するおそれがあるからです。
また、廃油の回収方法についてもあらかじめ具体的な手順を考慮しておく必要があります。浮上してきた廃油を汲み取り除去するのは毎日の作業です。油水分離に欠かせないこの汲み取り作業がやりずらいようでは、いくら高性能なグリストラップを導入したところでその機能が十分に果たせず、宝の持ち腐れになってしまいます。